みなさんこんにちは、京王八王子駅前歯科の歯科医師酒井です。
親知らずや歯科矯正の際に行われる〝抜歯″。経験がある方も多いことでしょう。
大人でもこわい抜歯ですが、最近では麻酔薬や注射針の改良もされ、痛みなどの負担は最小限で行えるようになりました。(すでに痛みや腫れが出ている状態での抜歯は麻酔薬が効きづらいため、早めの受診を!)
その〝抜歯″の後に起こり得る症状が『ドライソケット』です。あまり耳慣れない言葉ですよね。
今回は『ドライソケット』についてお話しします。
ドライソケットって?
ドライソケットとは、抜歯後に空いた〝歯ぐきの穴″が原因でおこる症状です。
通常、抜歯後の歯ぐきの穴は出血した血がその穴を埋めるように膜(血餅)を作ります。その膜が「かさぶた」の役割を果たし、歯肉が穴(内部の骨)を覆うまでの数日間キズ口に食べカスや雑菌が入るのを防ぐ役割を果たします。
この血の膜がうまく維持できず、抜歯によるキズ口から通常露出するはずのない内部の骨が露出し、痛みを伴う症状です。この露出部分から雑菌がはいると更に痛みや腫れが強くなります。
抜歯後の注意
前述したような状態にならないためにも、抜歯後には注意が必要です。
うがいをし過ぎない
血の味がして気持ちが悪い、口内を清潔に保たなきゃいけないという気持ちから、抜歯後にうがいを頻繁にする方がいます。
抜歯後、お口の中が気持ち悪いのは十分に理解できます。しかし、頻繁にうがいをするということは、血のかさぶた(血餅)を頻繁にはがす行為です。
どうしても気持ちが悪いときには、〝優しく水を口に含み吐き出すだけ″にしてください。
歯ブラシなどが当たらないよう注意
うがいでも剥がれてしまう血の膜。もちろん歯ブラシが当たってもはがれてしまいます。
また、傷口をブラシでこする行為ですので、当然痛みも伴いますし、新たに出血もしてしまいます。
ちなみに、舌で触るのもNGです。うがい同様に血の膜がはがれてしまう可能性があります。抜歯後、数日は刺激を与えないようにしましょう。
飲酒や運動、長風呂など処置当日は血行がよくなるような行為は避ける
血行がよくなると、どうしてもキズ口からの出血も激しくなってしまいます。抜歯当日は、まだキズ口も新しいため、出血する可能性は大いにあり得ます。
出血が常にしているような状態が続くと、血の膜の形成がうまく行われません。
上記のことでわかる通り、血の膜をいかに剥がさず、維持するかというのが大事になります。
ドライソケットになってしまったら
どんなに注意事項を守っても、ドライソケットになることはあります。また、上あごより下あごの抜歯に発症する方が多いです。
ドライソケットになってしまった場合、かなり強い痛みを伴います。
また、ご自分で患部を鏡で見た時に白くなっていたら、雑菌が繁殖している可能性があります。
強い痛みを伴うドライソケット。ほっておくのではなく、歯科を受診してください。
雑菌が入ってしまっている可能性もありますし、専門医で汚れや雑菌の除去をしてもらうのが良いでしょう。