こんにちは。京王八王子駅前歯科です。
ここ数年で「フッ素」入りの商品が増えて、「フッ素」に興味をお持ちの方が増えていることと思います。
今日は、そんな「フッ素」は歯にとってどんな働きをしてくれるのかについてお話ししたいと思います。
そもそもフッ素とは
昔、習った方もいる元素記号。「水兵リーベ僕の船」懐かしいですね。その元素記号の9番目に当たります。
元素記号は「F」。
単体分子は常温では気体です。空気よりやや重い物質ですが、このフッ素自体はガラスやプラチナさえも溶かしてしまい、さらに猛毒を持っています。「フッ素は危険」というイメージは、このあたりから生まれたようです。
フッ素の歴史
フッ素は、1900年代にイタリアのナポリからアメリカに移民してきた人々の歯にエナメル質の異常や歯の色の異常が認められたそうです。調査したところ飲料水としている井戸水に高濃度のフッ素が検出され、これが原因ということがわかりました。
同時にこの移民の人々は、共通して虫歯の発生率が低かったそうです。
これをきっかけにアメリカの歯科医師トレンドリー・ディーンらによってフッ素と虫歯の関連性について調査が行われ、1942年に公表しました。その際に、虫歯を予防できるフッ化物の最適含有量は1ppmであると結論付けられたそうです。
これと並行して、1940年代には、歯に直接フッ化物を作用させるフッ化物歯面塗布やフッ化物洗口、フッ化物配合歯磨剤などの局所応用の研究が始まったそうです。
フッ素は劇薬と聞いたことがあるが大丈夫なの?
劇薬という意味は、薬事法で該当する薬品を示します。
むし歯予防に用いられるフッ化物化合物にはいろいろなものがありますが、主にフッ化ナトリウムが多く用いられています。
このフッ化ナトリウムの粉末そのものは、薬事法上劇薬に該当しますが、処方通りに溶解して、その濃度がフッ化物として1%(10,000ppm)以下のものは普通薬として扱われます。
つまり、家庭や学校・幼稚園で専門家以外の人が取り扱ってもなんら問題はありません。
ただし、その溶液の作製や保管に関しては十分に注意する必要があることは、言うまでもありません。
フッ素は歯を強くする理由
フッ素を歯に塗布することで以下のような効果が期待できます。
- 耐酸性の向上
虫歯菌は強酸性の環境を好むため、フッ素を塗布することで虫歯になりにくい歯にすることができます。 - 歯の再石灰化を促進できる
フッ素は再石灰化を促進し、歯の修復を促すのです。これにより、でき始めの初期虫歯を治療し、健康な歯を保ってくれるのです。
- 歯質の強化
フッ素は歯の表面のエナメル質の成分と結びついて、フルオロアパタイトという硬い構造を作りあげます。この働きにより、ミネラルが溶けだしにくく、虫歯になりにくい強い歯にしてくれるのです。
歯医者のフッ素と歯磨き粉のフッ素の違い
歯医者で使用するフッ素と、市販の歯磨き粉に含まれるフッ素には違いがあります。
歯医者で使用するフッ素は、「9,000〜123,000ppm」と言う値の濃度。
市販の歯磨き粉に入っているフッ素は、「500〜1,000ppm」と言う値の濃度。
圧倒的に歯医者のフッ素の方が濃度が高いのですが、そう頻繁にできるわけではありません。
低濃度とは言え、フッ素入り歯磨き粉で毎日やればそれなりの効果が得られます。
歯医者のフッ素と合わせて行うことで、虫歯になりにくい歯が期待できます。
さいごに
いかがでしたでしょうか。フッ素は、子供だけと思っているかもしれませんが、大人の方にも必要な場合があります。気になる方は、お気軽にお尋ねください。