みなさんこんにちは、京王八王子駅前歯科の歯科医師酒井です。
歯科に行くのは〝痛くなってから″、〝目に見える異常がでたら″という方が多くいらっしゃいます。
しかし、口臭や歯槽膿漏、虫歯も初期の場合は自覚症状がほとんどでません。大体の場合、歯科へ来院された際にはかなり進行してしまっています。
また、痛みがひどくでている状態では麻酔なども効きづらく、治療も長期化する可能性が高くなります。
結果、ご本人の負担も大きくなってしまいます。
歯槽膿漏とは
歯槽膿漏とは「歯周病」のことです。字のごとく、歯槽に膿が溜まる病気です。
皮膚のキズにばい菌が入り化膿した場合、独特のニオイを発生させます。幼いころに一度くらいは体験したことがあるのではないでしょうか。
このニオイを発生させる膿が口内に発生した場合、「口臭」がでるのは想像に難しくないですね。外皮の傷口の膿はご本人でもニオイに気づくのですが、口内になるととたんに気づけないのが要注意点です。
また、口臭がでるだけでなく、歯茎が下がるのとともに歯の土台となる骨(歯槽骨)が溶けていってしまいます。その結果、歯がグラグラと揺れるようになり、やがて抜け落ちてしまうのです。
溶けてしまった骨や下がってしまった歯ぐきはもとの状態に戻ることはありません。しかし、歯槽膿漏でグラつき始めた歯も適切な治療とケアの見直しにより、確実に症状は改善します。処置は早ければ早いだけ良いというのは言うまでもないでしょう。
では傷があるわけでもない場所に、なぜ膿がたまるのでしょうか? それは口内の細菌と食べカスなどの汚れが関係しています。
食事の際に歯と歯の間や歯と歯ぐきの間に食べかすが溜まります。その食べカスなどの汚れが長時間同じ箇所に停滞すると、やがて歯石(細菌が石灰化したもの)になります。
歯石は硬く歯にくっつくように発生するため、歯ブラシなどのセルフケアによる除去は難しくなります。この歯石はやがて歯ぐきの腫れや出血をともなう歯肉炎を引き起こします。
そしてそれが更に悪化すると、歯石の細菌は歯の土台の骨を溶かしだします。重度になると歯ぐきに『膿』をもつため歯槽膿漏と呼ばれているのです。
では、歯槽膿漏を予防しようと思ったらどうしたら良いのでしょうか。
食事をとらないなんてことはできませんし、口内細菌をゼロにするなんてこともできません。
食事のたびに活発化する菌と、歯など口内の凸凹に食べカスが長時間停滞することによりおこる歯周の環境の変化にどう対応していくかというのが重要になります。
歯槽膿漏は専用歯磨き粉で自己治療可能か
巷には〝歯槽膿漏予防″や〝歯槽膿漏用″とうたっている商品がたくさんあります。なかでも代表的なのは、うがい薬や歯磨き粉ですね。
ではこれらの商品を使用すれば自己治療は可能なのでしょうか。
初期の段階の方には適切な使用で有効と言えるでしょう。もちろん、歯ブラシの仕方などの見直しは必要かと思います。(普段の歯ブラシの仕方では取り切れていない汚れがあるために、歯槽膿漏になっているので見直しは必須)
しかし重度の場合、早急な治療が必要な段階です。
セルフケアでは症状の進行度合いに対して間に合わないでしょう。歯石の除去には歯科での専用器具を用いた処置が必要です。歯周病の治療には、その症状の原因となっている歯石除去は必須です。
初期症状の方にも、歯科でのクリーニングをぜひ受けていただきたいです。
その際に、歯ブラシやセルフケアの使用方法を相談してみてくださいね。