歯周病を放置すると起こる全身疾患

歯科医の酒井です。

以前よりもテレビコマーシャルで歯周病ケア関連グッズのコマーシャルが流れるようになって、歯周病の認知度も向上してきています。

そんな歯周病ですが、まだまだ知られていないことも多いです。

そんな歯周病で絶対に知っておいてほしいことがあります。

それは歯周病と全身疾患の関係です。

歯の病気が全身疾患に悪影響を及ぼすなんて、きっと多くの人は想像できないかと思います。

実はお口の健康は全身に大きな影響を与えます。

歯周病が悪影響を及ぼす全身疾患についてご紹介していきます。

まず、最近では地震や大雨による水害などで、避難生活を送っている方が大勢います。

そんな被災者の皆様や高齢者の方に知っておいてほしいのが、「肺炎」です。

正確には誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)です。

これはお口の中の菌、主に歯周病菌が大量に増殖してしまって、その口で食べた食べ物が誤って肺にはいってしまうことで、誤嚥性肺炎を発症します。

誤嚥性肺炎は、お口の中の菌を減らしてあげる、歯周病を改善することで、予防することができます。

また、最近では糖尿病にも歯周病が大きな影響を与えることが研究結果でも報告されています。

糖尿病患者さんでしっかりと治療を受け、食事にも気を付けているのにも関わらず、血糖値が改善しない方がいます。

これは歯周病が増悪因子となって働いているからです。

というのも、歯周病の状態というのは、歯茎に炎症を起こしています。

皮膚に炎症がおきていると、ただれて痛々しいのに、歯周病だと口の中なので、見えないために放置されてしまいがちです。

この炎症を放置したままだと、血液中にインスリンの働きをに邪魔する因子が放出されます。

その結果、血糖値が薬を内服しているにも関わらず、改善していかないという事態を引き起こします。

ですが、糖尿病患者さんがしっかりと歯周病をケアすると、なかなか改善しなかった血糖値がしっかりと改善していったというデータがでています。

ですので糖尿病を悪化させないためにも、歯周病予防は大切です。

さらに、妊娠中の女性でも、歯周病は早産のリスクをなんとたばこよりも高いリスク、7倍以上、引き起こすことがわかっています。

早産になると、未熟児のため、未熟な状態で赤ちゃんが生まれてきてしまいます。

ですので、妊娠中の女性はもちろん、妊娠を希望しているすべての女性は歯周病予防を将来生まれてくるお子さんのためにもしっかりとしていかなければいけません。

他にも、歯周病は歯茎の毛細血管から細菌が侵入して、心臓や脳などの血管に血管障害を引き起こし、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを上昇させます。

こういった全身疾患を予防するためにも、ぜひ、歯周病予防をしましょう。

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