歯科医師の酒井です。
母乳育児は親子の関係構築には欠かせないといわれています。
ですが、1歳半検診のときに母乳をあげているとなるべく早く卒乳するように促されます。
その理由が中耳炎のリスク上昇や、むし歯です。そんな母乳育児ですが、歯科医の立場からどれくらいまで母乳を卒業すればいいのか、ご紹介していきます。
生まれたばかりの赤ちゃんはお母さんのおっぱいを飲んで育ちます。そして5か月から6か月くらいで離乳食を開始します。そして母子手帳にはだいたい1歳過ぎて1歳半くらいまでには卒乳するのが望ましいという風に書いてあったりします。
母乳による虫歯リスク
実際、母乳はむし歯のリスクを上昇させるのでしょうか。実は母乳単体ではむし歯リスクが急激に上昇するかというとそうではありません。母乳だけでむし歯になるのではなく、お菓子や量に使用させるお砂糖、ショ糖と組合わさることで、赤ちゃんの歯、乳歯をむし歯にさせてしまいます。離乳食を開始する前までにむし歯になる赤ちゃんというのはいません。
赤ちゃんは生後三ヶ月の間はお母さんのおっぱいを3時間おき、短い赤ちゃんだと2時間、1時間おきに飲む赤ちゃんもいます。徐々に成長してたくさん飲めるようになって授乳間隔があいていきます。離乳食を開始したときも、ニンジンだけ、ご飯だけといった味付けをほとんどしない材料を使用するので、むし歯になることはほとんどありません。
1歳過ぎたお子様の傾向
しかし、1歳を過ぎると、歯もだいぶ生えそろってきて、前歯が生えそろうので、赤ちゃんせんべいなどをしっかりと食べられるようになります。上の兄弟がいるお子さんの場合では、クッキーなどの甘いお菓子も1歳を過ぎてくると食べるようになってきます。
ですが、1歳の時点でしっかり歯磨きをお子さんができるかというと個人差が大きいです。
虫歯リスクを考えた卒乳のタイミング
そのため、甘いものをついつい与えて食べてしまうお子さんで、歯磨きがしっかりとできていないまま、夜にお母さんのおっぱいを飲んでしまうと、当然、むし歯リスクは上昇してしまいます。ですからそういった環境にあるお子さんの場合はやはり、1歳を目途にしっかりと卒乳することが望ましいでしょう。しかし、おやつは自然のもので、砂糖を使っていない、しっかりと寝る前に歯磨きができるというお子さんであれば卒乳はそこまであせる必要はないと考えます。それぞれお子さんの成長と環境を加味して、お母さんがいいと思うタイミングで卒乳させてあげましょう。