歯周病は認知症を悪化させる?

みなさんこんにちは、京王八王子駅前歯科の歯科医師酒井です。

高齢化がすすむ日本。お年を召しても元気に活力的に毎日を過ごしてほしく思います。どなたも〝健康に長生き″が一番ですよね。

食事に必要不可欠な〝歯″も体の一部です。歯(永久歯)は髪の毛のように抜けたらまた新たに生えてくるなんてことはありません。

歯は年をとると抜けるものだと思ってらっしゃる方が意外と多いですが、歯はしっかりと管理することで70~80代までご自分の歯で食事をすることも可能です。ぜひ健康に長くお付き合いください。

今回はそんな歯の抜ける大きな原因のひとつである、『歯周病』と『認知症』のお話しをしようと思います。

歯周病とは

近年、『歯周病』という言葉はCMや電車の広告など、様々な場所でよく見聞きするようになりました。ですが、歯周病とは実際何が原因で何故悪いのかを理解している方は多くありません。

歯周病の原因は、歯と歯ぐきの間に汚れ(食べカスや菌)が停滞することにより、歯ぐきが炎症をおこしてしまうことを言います。歯と歯ぐきの間(歯周ポケット)は通常1~3ミリで、4ミリ以上になると『歯周病』と診断されます。

上記した汚れが停滞することによる炎症は、歯周ポケットを深くします。

その結果、更に汚れが溜まりやすく、またご自分でのお掃除・管理がしづらくなり歯周病も悪化します。炎症の悪化に伴い、歯ぐきが腫れ・歯ブラシの際の出血も増えていくでしょう。

この状態をそのままにし、悪化していくと歯ぐきが下がり、歯が長くなっていきます。この段階に入ると、歯周病特有の口臭の発生や本来なら歯ぐきに覆われている歯の根元が露出してしまっているために知覚過敏の症状も出てきます。

また、硬く弾力のあるようなものは噛みづらくなり、食事のたびに出血をする場合もあるでしょう。

そして最終的には、歯が抜け落ちてしまいます。

このような事態を防ぐために、「歯周病を防ぎましょう!」、「歯周病を治しましょう!」という広告が巷に溢れているのです。

歯周病と認知症

歯周病の原因と悪化していくとどのような状態になるのかを前述しました。

近年、歯周病は口臭の発生や歯の寿命を短くするなどお口の問題への影響だけではなく、『認知症』への影響があることが注目されています。

これはまだ広告などで一般的に広まっていない情報ですが、確かにそのような結果が出たという論文が発表されています。

難しいことは省略しますが、歯周病により認知症の発生率の上昇・進行があり、また歯周病の予防・治療により認知症の発症・進行の抑制につながるということです。

これはマウスによる実験により実証されたものです。

歯周病のマウスと歯周病ではないマウスで認知症の進行度合いを比べた結果、歯周病のマウスの認知症の進行度合いが高かく、認知症の原因物質が1.5倍以上という数値がでました。原因物質が多いということは、その分進行が速いというのはお分かりになるかと思います。

また、この原因物質は認知症発症にも影響を与えているのも言うまでもありませんよね。

このことから、認知症の発症・進行の抑制には『歯周病』の予防・治療が有効的な対策になると言えます。

また、認知症予防にはよくものを噛むのが有効とも言われています。

歯周病予防はこの〝噛む″という行為をしっかりと行うためにも必要です。歯と歯ぐきの健康がより健やかな毎日に繋がります。

皆さん面倒に感じるかもしれませんが、定期的なメンテナンスや検診を健やかな生活を維持するものとしてご活用ください。

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