こんにちは。歯科医師の酒井です。
突然ですが、鏡の前でお口を大きくあけてみてください。
歯に大きな穴が開いてはいませんか。もし歯に大きな穴が開いているなら、すぐに歯科医院での治療が必要です。
なぜ歯の治療が必要なのか、歯に大きな穴が開いている方にぜひ知っておいてほしい、むし歯の怖さをご紹介します。
歯に大きな穴があいている場合、当然、むし歯です。
やっかいなのが、大きな穴であればあるほど、むし歯が進行しており、神経が腐って、痛みを感じなくなっているということです。
痛みがあれば、歯医者さんに今すぐにでも行って、治療を受けるのですが、人は痛みを感じなくなると、通うのが面倒になって、治療を中断してしまいます。
では治療を中断してしまうとどうなってしまうのでしょうか。
歯の神経にまで感染が起きておらず、つめるだけの治療であれば1回で治療が終了しますが、根っこの治療の場合は、感染を抑えて健康な状態になるまで治療の回数がかかります。
1回目の治療で、痛み止めと抗菌薬を投与されるので、痛みが軽減し、歯茎が腫れている場合は一時的に症状が改善します。
そのため、治ったと勘違いして、治療を中断してしまうのです。ですが、薬の効果が切れてしまえば、感染源を完全に除去できていませんから、細菌はまた増殖し、痛みを引き起こします。
治療が途中なので、仮の詰め物もとれてしまい、また大きな穴が開いたままの状態に戻ってしまいます。それだけでなく、むし歯はどんどん進行してしまい、根っこまでむし歯菌が感染して、抜けてしまったり、根っこの先で膿がどんどん広がっていったりします。
ある患者さんでとても仕事が忙しく、痛いときにしか治療に来られないという方がいらっしゃいました。最初は神経をとる抜髄という治療だけでよかったのですが、その1回で痛みがなくなってしまったので、治療を中断してしまいました。
すると1か月後、強い痛みがでて、再来院されました。むし歯は拡大し、根っこの先に膿が溜まっていました。
そしてまた痛みがなくなったので、来院されなくなりました。
今度は1か月しないうちに痛みを訴えて来院されました。
ですが、感染が拡大して歯だけでなく、歯ぐきまでボンボンに腫れている状態。
歯を残すのが難しい状況になりましたが、炎症症状が強く、麻酔も効きにくいため、いったん薬で症状を抑えました。
ですが、炎症が強いので痛み止めがすぐに効果が切れてしまい、次の日も受診されました。
結局、3日連続で来院し、抜歯することになりました。その後は経過良好です。
もし、あのとき、きちんと治療を終えていたら歯を残せて、痛みを1回だけですみました。
こんなことにならないためにも、歯に大きな穴が開いている方は、すぐに歯医者さんで治療を受けてくださいね。