口内炎にも種類がある

歯科医の酒井です。

 

季節の変わり目や疲れているときにできる口内のデキモノが「口内炎」というイメージがありますよね。

小さい時から気づくとたまにできていたという方、多いのではないでしょうか。

しかし口内炎とはお口の出来物だけではなく、正確にはお口の中におこる炎症すべてを指します。

 

今回は日常生活で身近なお口の炎症、「口内炎」についてです。

身近なだけに見落としやすい怖い病気がひそんでいる可能性もある口内炎。

専門医の受診をおすすめする目安も併せてご説明します。

 

口内炎の種類と原因

  • “お馴染み”の急にできる口内炎

体調不良や不摂生が続いたときなどに、口内にぷっくりとできるデキモノ。

一般的には不摂生などの体調の変化が原因と考えられていますが、原因は断定できません。外的要因による刺激がなくても発生するもので、毎回同じ場所にできると言う方が多いです。

 

  • 物理的要因(噛み傷、火傷、歯ブラシや入れ歯などによる擦れ傷)による口内炎

お口の中の粘膜が、なんらかの物理的要因により傷ついておこる炎症や腫れ。

数日で治る方が多いですが、炎症箇所が歯ブラシが当たりやすい場所や噛み癖がついていたりすると繰り返し炎症が起き、治るのに時間がかかる場合があります。

 

  • 感染症による口内炎

ウイルス、真菌(カンジタ菌)などの感染症の発症による炎症。

この中でも、カンジタ菌による口内炎は免疫力が下がった時に発症しやすく、悪化すると痛みや味覚障害などの後遺症が現れる恐れもあります。

炎症箇所が広範囲に広がっている、2週間以上治らない等の口内炎がある場合は、このカンジタ菌による口内炎の可能性がありますので専門医(歯科、口腔外科、耳鼻咽喉科)を受診してください。

 

いつもの口内炎ではないかも?2週間以上治らない場合

傷や体調不良が要因の口内炎の場合、長引く場合でも10日前後で自然に治るのが一般的です。

2週間以上炎症が続く場合、前述した「感染症による口内炎」の他に“口腔”がんや“舌癌”の可能性があります。

中でも、1か月も続くような口内炎は特に痛みや不自由がない場合でも、専門医を受診をしてください。

また、治癒期間以外に下記2点も気を付けて見てみてください。

 

  • 炎症部分の色が赤・白混在している
  • 部分的に硬いしこりのようなものがある、表面がデコボコしている

 

これら2点はお口の中の“がん”にみられる特徴です。

ただ、実際にご自己判断するのはとても危険です。「2週間以上続く口内炎がある場合はすぐに受診する」という認識をおもちください。

 

最後に

口内炎と聞くとかるく考えがちですが、思わぬ病気のサインの可能性があります。実際に、歯の定期検診の際に口内炎だと思っていたものの精密検査をすすめられ、結果“舌癌”であったという事例もあります。

 

また、一般的な口内炎であっても、痛みが強い場合は口腔内用の塗り薬の処方があります。一般的な口内炎はほっておいても自然治癒するものですが、塗り薬を使うと治癒が早いです。お食事の際やケアの際に困る箇所の口内炎、気になって舌で触ってしまう箇所の早く治したい口内炎におすすめです。

 

その他、歯ぐきの炎症で口内炎と思っていたものが、歯根の腫れであったという場合もあります。違和感や痛みを伴う場合は軽く考えず、まずはご相談ください。

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